はじめに

 去年の4月に、何かのニュースで殺菌灯を知るきっかけが有り、いろいろ調べました。
そして、自作を思い立ち、東芝製の殺菌灯(GL15)を3本を購入しました。
照射器用に2本、空気除菌装置に1本を組み込みました。

”殺菌灯”とか”殺菌ランプ”と言うのは商品名であり、この名称から対象は”菌”とかであり
ウイルスは対象外だと言う誤解を招く方がいるかも知れません。

紫外線発生放電管とか言えば、少しは意味が通るかも知れません。


1、原理
  この殺菌灯が発生する紫外線は夏の日焼けを起こす紫外線とは波長が異なります。
  日焼けを起こす紫外線は350nmですが、これは、253.7nmであり、強さは日焼け紫外線の
  1600倍にもなります。

  さて、なぜ、菌やウイルスに効果があるのか?  
  それは遺伝子のRNAやDNAを構成する核酸塩基を損傷するそうです。
  その、核酸塩基吸収極大波長(nm)が以下です。

核酸塩基 RNA DNA 吸収極大波長
(A)アデニン 260nm
(C)シトシン 265nm
(G)グアニン 275nm
(T)チミン 265nm
(U)ウラシル 260nm

              
   コロナウイルスはRNAウイルスです。
  




  これらのRNAやDNAを持つ全てのウイルス、菌、カビ、動物の遺伝子情報を損傷します。
  また、殺菌とか死滅とかと言う言い方は正確ではなく”不活化”と言います。
  これによりRNAやとDNAの遺伝子の増殖を阻止します。
  人間に対しても危険性があり、特に目には致命的な影響を与える場合がありますので
  取り扱いには注意が必要です。

3、自作品
  1)照射用は2種類
    15W蛍光灯器具をを利用しました。 グローランプ点灯式が望ましいです。  
    タイマーは昔、制作した電子式の5分タイマーを35分に改造しました。
    この時は、照射時間について曖昧なままでした。
    これらは主に玄関先で外からの衣服や持ち込みの物(買い物品など)に照射します。

   

器具全体には銀スプレーを行ってます。 
 反射面には、「3M 熱反射マスキングテープ」を使用しました。
 これは導電性がないので、ショートする危険がありませんが、
 表面は柔らかく傷つきやすいで擦らないよう注意が必要です


 これは、照射する玄関先の場所です。
アルミシートと網は100均で購入しました。 網は折り曲げて浮かせて使用します。





  2)空気除菌装置

     これは自宅療養になった場合を考慮して、寝床の空気除菌を考えたものです。
    寝床の部屋は負圧状態にしようと、換気扇も穴あけしてパイプファン(150φ)を取り付けました
    若干、弱いようですが部屋の換気ができるようになり、湿気対策もあって常時稼働しています。

    空気中のウイルスを不活化する場合、出来るだけ空気に照射する時間を
    長くしなければなりません。 
    装置内を空気が蛇行するようにして、光も乱反射するようにしてみました。 
    下部に小さなファンが組み込んでいます。
                                          
         



 3)自作の電源用タイマー回路
   タイマーICを利用したもので、コチラです。 これは、昔、制作した洗濯機用ポンプを改造しました。
   タイマー時間は、およそ1分〜35分です。

   

2、照射時間について
  1年前の頃はコロナウイルスに対して、どのくらいの照射時間が有効なのかは未だ定かではありませんでした。
  現在は3.7mJ/cm2 と言う数値が定説になったようです。
  ちなみに、インフルエンザウイルスは 6.6mJ/cm2 と言う照射量です。

   (資料サイト)
   コロナウイルスへの工学的対抗策についての考察  Last update 2021/01/11
    http://anticovid19.starfree.jp/
      1) (イタリア)3.7mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。254nm 殺菌灯使用。


  照射時間を算出するには以下の計算式を用います。

  積算光量(単位:mJ/cu)=UV照度(単位:mW/cu) x 照射時間(単位:秒)
  変形して
  照射時間(単位:秒) = 積算光量(単位:mJ/cu) ÷ UV照度(単位:mW/cu)x


3、実際の照射時間
  私が購入した製品は東芝製のGL15(15W)タイプのものです。
  メーカーの技術資料により、距離と照射強度の関係グラフが掲載されています。
  https://www.tlt.co.jp/tlt/support/faq/lamp/pdf/lamp_f35g_gl.pdf

  この関係グラフから、数値をおおよそで読み取りました。 正確ではありませんのでご容赦ください。

  但し、これは気温20度のデータですが気温により、高くても低くても出力低下しますので補正が必要です。 
    40℃:約 80%出力 補正 照射時間は20℃の時の1.25倍
    30℃:約 90%出力 補正 照射時間は20℃の時の1.11倍
    20℃: 100%出力 定格基準
    10℃:約 90%出力 補正 照射時間は20℃の時の1.11倍
     0℃:約 70%出力
  
  また、風が吹いてる環境でも効果が減衰します。
  それと、紫外線出力は点灯する時間と共に減衰して行きます。
  約4000時間後には80%に低下するので、その時点を定格の寿命としているようです。

  GL15の場合の照射時間と安全時間を算出したのが以下です。
  殺菌灯は90%劣化(1,000時間使用後)したと言う想定です。
  
  

  安全時間に関しては、以下より6.0mJ/cuを元に計算しています。
    紫外線ランプの使用上の注意(岩崎電気)
    https://www.iwasaki.co.jp/optics/chishiki/uv/09.html


  全ての型番(GL4〜GL30)についての一覧表はコチラです


  玄関先での使用は奥行きは2〜3m程度です。
  この場合、20℃で、1灯なら6分〜13分のようです。
  また、2灯なら3分〜7分のようです。

  しかし、照射時間の目安は算出できましたが、照射は全方向に一定ではありません。
  反射板の素材によって、方向により強弱を伴いますので、あくまでも目安に過ぎません。

  玄関先で2灯なら、余裕をみて、15分で良さそうです。


4、殺菌灯の扱いの注意
  
  この殺菌灯を直視するとか、人間が入る場所での使用は避けなければなりません。
  ぜひ、メーカーの注意事項をご一読ください。
    東芝ライテック 殺菌灯のご注意
    http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/toshir-light/book/toshir-light-P1093.pdf  
  
  目に対しての安全時間は、至近距離では数秒が限度です。
  1m離れたら、1分のようですが、そうそう、じっと見つめる事すら危険でしょう。
  殺菌灯は、人が常時、入る場所や通過する場所は避けなければなりません。
  小さい子供が入る場合は装置はしまい込んで触れないようにするしかありません。


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※メーカーの技術資料による、距離と照射強度の関係グラフ(図3)







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2021年(令和3年) 2月8日