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備忘録 

(その1)

その2へリンク→

はじめに
 オシロスコープに触れたのは遥か昔になります。
工業高校の電気でしたので、実験でよく使用してました。
職場でも使用してましたし、趣味が電子工作と言う事もあって、自宅でも触れていました。
以前、持っていたオシロ(テクトロニクス150M)が故障して手放してしまいました。
オシロが手元に無くなって、かれこれ、6年が経過しようとしていました。

 最近になって、やはり、持っていたいなあと言う思いで中古(岩通100M)を入手しました。
どちらかと言えば暇つぶしの修理作業でもやって見ようかと言う楽しみからでした。
しかし、やはり、修理には回路図が必要で、後から入手も出来ず、お手上げで手放しました。

次に中古を買う前にネットで回路図を探して、サービスマニュアルのある中古機種を買う事にしました。
それで、入手したのは日立製のV−550B 50Mでした。 かなりの経過年数と思われます。
推定、製造から20年以上は経過してるのではないでしょうか。
この機種が到着するまでマニュアルを印刷して待ちわびてました。
ところが、到着した装置は致命的な故障は見当たりませんでした。
不具合はスイッチやボリュームの接触不良程度でした。
分解や清掃(基板外しやスイッチ分解)などで使用できるレベルになりました。
詳細は後ほど書いて行きます。

ちょっと、修理の楽しみをしていたので残念な感じでしたので、次のオシロを模索しました。
これも、サービスマニュアルを事前に入手しました。 V−550B程、完全マニュアルではありません。
しかし、回路構成の違いは99.99%酷似してるので入手する事にしました。
2台目は日立製のV-650F 60M です。
これも致命的と言う故障はなくて、通常の測定には利用出来そうな程度でした。
しかし、輝度調整が出来なくて輝線が明る過ぎと言う点は修理する事になりました。
これも以降で詳しく書いて行きます、 結果的には修理は出来ました。


※お願い※ 
はじめにお断りしておかねばなりません。
このような装置は内部に高圧電源部があります。 今回は8千5百ボルトです。
高圧と言うのは手で触れなくても接近するだけで感電します
命に係わることもありますので、電気の経験のない方は分解などは行わないようにお願いします。
今回、修理で探索した箇所は高圧部のど真ん中に位置する部分で、当方も難儀して1度、感電しました。
もし、被害に合われても責任は取れません。
興味ある方は自己責任でお願いします。




1台目のV−550B

<症状>
汚れ具合は軽い方でした。 コンデンサの膨れも一切ありません。
かなりの症状が出ていました。 
使ってた方はストレスで嫌気がさした事でしょう。

1)CH1の「VOLT/DIV」ツマミの横の「POSITION PULL X5」スイッチを
  引くと波形が崩れる
    

2)CH2も上記と同じ

3)「SCALE ILLUM」ランプの3灯のうち左側が不灯

4)CH1とCH2の「AC-GND-DC」切り替えスイッチが接触不良で
  輝線が安定しない。上下に暴れる。

5)CH1の「VOLTS/DIV」 10mVレンジの接触不良か、垂直振幅が小さい。

6)「PULL SWPVAR」のスイッチを引っ張るとスイープ幅が徐々に狭くなり左側に寄って行く。

7) 電源部基板の水平出力トランジスタ4本のうち2本が過熱気味でした。
   これには放熱器は付いていません。   (垂直出力部は放熱器あり)



<対処>
1) PULLスイッチはテスターで接触不良を当たってみると、全く導通していないのもありました。

2) 基板を取り外す前に、全てのコードのコネクタへコネクタ名の表記をしておきました。
   組み立て時に間違わないためです。
   コネクタ名については出元と行先が基盤や回路図に明記されています。

3)スイッチが付いている基板を全て取り出し清掃し、スイッチ類は基板から半田を溶かして外しました。
  ボリュームと一体になったスイッチは分解し、内部を清掃し、接点グリスを塗りました。
  ボリュームは念の為、小さな隙間から内部に接点グリスをエアダスターを併用して軽く拭き込みました。
  (注:強く吹き込むと内部のバネが踊って壊れます)

  基板裏の清掃はアルコールだと湿気とフラックスが滲むので油性のパーツクリーナーを使用しました。

  回転系のスイッチの接点周辺はアルコールで拭き、接点グリスを軽く塗布しました。


4)ランプ交換
  これは手持ちフイラメントのランプに交換しました。
  ちょっと、LEDで良いのではと思いましたが、回路図を見ると明るさ調整は
  トランジスタ制御なので難しいと思いました。
  LEDに替えるなら3本全て交換し、若干、回路も見直ししなければならないでしょう。

5)電源部の抵抗器3本の半田クラック対処
  1W型抵抗器の半田を一旦外して抵抗値を測り、半田し直しました。
  R1131 47Ω、R1111 33Ω、R1121 27Ω

6)組み立て後、接触不良に関する症状は消えました。
 

      

7)水平出力トランジスタ4本のうち、発熱してるのは2SB648の2本で直列の
   2SD668の2本は大丈夫でした。
   後ほどの2台目のオシロはそれほど過熱していません。
   使用トランジスタが違っていて、2SAと2SCになってるのです。
   両方共、放熱器は付いていません。 垂直出力部は放熱器が付属してます。
   トランジスタを外してアルミ板(2cmx10cm)の放熱器4つを取り付けました。
   とりあえず、動作には支障もないので様子見です。

8)電源部の電圧測定を行いました。
   サービスマニュアルに記載した許容範囲に収まってました。
   +12V、 ―12V、+5V、+99V、+150V
   +12Vの調整ボリュームは触りません。 いろんな基盤の増幅度に関係するので
   校正し直しを避けるためです。
   後々、平滑コンデンサについては交換しようと思っています。

9)校正について
   基準になる電圧計や周波数カウンタや発振器が必要です。
   サービスマニュアル(英語版)には詳細が書かれていますが、基準機材が無いので
   手順確認だけに留めようと思います。

清掃前の前方からの写真です。
左側がブラウン管で赤いコードは高圧ケーブル(8.5KV)です。
コードは外枠ケースに接着してるので、ケース側に絶縁のプラスチック板を
張っておきました。

清掃前の後方からの写真です。
それほど、ススけていません。 高圧発生部からのコードの出口付近は垂直出力基盤が接近してるので
そこには太めのシリコンチューブを被せておきました。

スイッチの分解清掃です。
このようなスイッチは全部で6個あるので全て外しました。
中には内部グリスの固着で完全に絶縁してるようなものも有りました。


高圧部と電源、輝度信号回路などの基板です。
左側の高圧フライバックトランスは真鋳ケースに上部も基板下部も
遮蔽されていましたので取り外して点検しました。
汚れが無いので使用時間は少なかったようです。

右側が電源部で半田クラックが3箇所ありました。

左上のパワーTR3個の真ん中には放熱用の雲母板がありません。
分解後、組み立てたら雲母板の1枚を紛失したかと焦りました。
元々、このコレクタはGND接地でシャシーに直付けだったのです。

これは清掃後に再組立てした時の波形です。
輝度調整もフォーカスも小さく絞り切れていて綺麗です。

スイッチやボリュームの接触不良による波形の崩れも解消されました。


2台目の日立 V-650Fは次ページ以降に記載します。
 (その2、その3)

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2021年(令和3年) 7月2日 

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