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オシロスコープの修理(その2)

2021.7.3(令和3年) 

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<前書き>
こちらのページには2台目の日立 V-650Fの修理を書いて行きます。

  


1台目のV-550Bは素子の致命的な故障はありませんでした。
2台目もスイッチ類の接触不良は想定されたものでした。
しかし、素子の故障が潜んでいて、その探索は困難でした。

結果を書くと高圧部の高圧高速スイッチングダイオード1本でした。
高圧部に於いては低圧で使用するアナログやデジタルテスター、そして、他のオシロでさえ
回路を乱してしまうか、測定器自身を壊す難しさを感じました。

特に故障した高圧高速スイッチングダイオードも一旦は取り出してテスターで点検したものの
不良を見極める事は出来ず見逃してしまったのです。
故障発見後に数あるデジタルテスターの中の一つだけが見極める事が出来ました。



2台目のV-650F

<症状>

1)ケースを開けると内部はかなりの汚れが有ります。
  高圧部周辺やブラウン管はススだらけでした。

   


2)FOCUSが絞り切れません。
  前面パネルのFOCUSツマミを回してもボケています。

3)輝線が明る過ぎて、特に左側は内側で反射してるように明るく光ります。
  前面パネルのINTENSITYツマミ(輝度調整)を廻しても暗くはなりません。
  V-550Bの場合はツマミの12時方向位置で丁度、明るさ適正で左に回せが
  輝線は暗くなって見えなくなります。

  これにより、遅延掃引の機能が阻害されて拡大しようとする部分の輝線の
  明暗がなくて識別が困難です。 (後で知りますが輝度変調不良です)
 
  
   ( 上記画像は高圧を作る発振回路のTRコレクタです。 周期19μs )


4)スイッチ類の接触不良に伴いう症状はV-550と同じでした。


<対処>

1)今回は内部の清掃を徹底する為、ブラウン管を含む、全ての基板を取り外しました。
  
   


  高圧ケーブル出口は真っ黒です。
  真鋳ケース内に昇圧フライバックトランスがあります。
  



2)スイッチやボリュームへの接点グリスはV-550と同じです。
  スイッチの接点抵抗は当初は数Ω〜数十Ωだったのが全て0.01Ωになりました。

3)電源部の抵抗器3本の半田クラック対処
  これも、V-550B同様ですが、なぜか抵抗値が小さくなっているのが有り手持ちと交換しました。
  R1131 47Ω、R1111 33Ω、R1121 27Ω

4)電源部の電圧測定を行いました。
   サービスマニュアルに記載した許容範囲に収まってました。
   +12V、 ―12V、+5V、+99V、+150V

5)高電圧の測定
  ここは通常のテスターでは測定困難ですので、1/10アッテネータ―A作って測定しました。
  ◇P904のB点 マイナス1450V
    V-550Bの場合・・・・ マイナス 122.4V
    V-650Fの場合・・・・・ マイナス 122.1V
    差異はないようです。

  ◇P904の@点 電圧不明 
    ここは、ほぼゼロボルトだった。
    しかし、アッテネータを接続すると、回路を乱して輝点がぼけた。
    アッテネータ―の抵抗値を増やしたBでも同じで輝点がぼけた。
    直流電圧でもなく、高周波のようで測定は困難だった。
    ここは、ブラウン管の制御グリッドに繋がっていて輝度変調を行ってる筈の回路。

 



  これ以降、輝度変調にかかわる探索を行いました。



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