<前書き>
いよいよ、輝度変調の不良の探索に入って行きます。
実は私は真空管工学と言うのは小6時代から馴染んでいるのですが、テレビなどのブラウン管の
分野は苦手なのです。
真空管と似てはいますが、高圧の電圧は真空管の場合は数百ボルトですが、ブラウン管となると
一桁上の数千ボルトなので回路の測定は出来ないと思っています。
くれぐれも、高圧部分に触れないように探索を進めなくてはなりません。
1)アプローチ
最初の症状でINTENSITYツマミ(輝度調整)を廻しても言う事を効かない点を探ります。
最終的にはブラウン管の制御グリッドに繋がる経路だと思います。
その何処かの不具合と思っています。
今回は同じ回路のオシロが有るので、それとの比較を行っていきます。
以下は、INTENSITYツマミ(輝度調整)から以降の回路図です。
クリックで大きくなります。
輝度変調周辺回路図
2)Z-AMP(輝度信号)の観測
上記の観測はオシロ2台を入れ替えて行いましたが差異はないので、ここまでは正常と判断しました。
3)FOCUS回路の観測
気になるFOCUS周辺です。

このトランジスタ周辺の抵抗器(R936、R935、R1016、RV1401)も正常でした。
FOCUSツマミのボリュームは取り外して分解点検しました。異常なしでした。
FOCUSボリュームから後方までの配線はススで汚れていたのでチューブを外し別のチューブに交換しました。
4)ブラウン管周辺の点検
ソケットは半田を外し清掃しました。
カソードに繋がってる、R1030、C1030も異常は見られません。
5)発振回路の観測
周期19μsで高圧フライバックトランスを駆動し、高圧を得ています。
ほぼ正弦波で、双方、最大29V、最小0.7Vで良好の模様。
周期はやや短く、17.5μS。 双方の掃引速度が正しいかも不明なので?。
周波数カウンタで実測するも不安定で定かではない。
ここまで、致命的な差異は見られなかった。
6)輝度変調回路の観測
ここで、ハッキリした差異が見られた。
しかし、動作がよく分からず、素子の特定には至らない。
注:E点にプローブを当てると言うのは回路を乱してしまい適正な観測ではないと思います。
7) 適当にパーツを交換する。
ネット上では高圧高速スイッチングダイオード故障と言うのがあったが、もし、違っていたらと思い
周辺パーツを購入して、一気に交換してみた。
これらは基板上部の真鋳遮蔽ケースに入っているので、全部まとめて試すしかなかった。
そして、遂に故障の現象は改善されました。
あとは、1つづつ、パーツを戻して特定させていきました。
まずは無関係と思われるパーツから始め、最後のダイオードになったのです。
結局、不良なのは高圧高速スイッチング1本だけ(D1021)でした。
念のため4本交共交換しておきました。
ちなみに、このダイオード(D1021)とD1022は真鋳遮蔽ケースの外にあり
簡単に交換が可能です。 他の2本はケース内ですので簡単ではありません。
<後書き>
高圧高速スイッチングダイオードについては、一度は高圧部のパーツを
外して、1点づつチェックしていたのですが見逃していました。
通常、ダイオードはテスターで簡単に良否が分かるものです。
逆方向の抵抗値を測れば全て無限大に見えました。
しかし、故障判明後、唯一、異なる測定が出来たテスターがありました。
秋月電子のP-16でした。 逆方向抵抗値17MΩを表示しました。
他の良品は無限大でした。 やっと差異が分かるテスターです。
高電圧で動作するダイオードなので特殊な検査方法があるかも知れません。
実用には問題ないオシロになりました。
グリッドバイアスを調整(RV1201)し、適正な輝度調整が出来るようになりました。
輝度変調の回復により遅延掃引の機能も使え波形の任意の箇所を拡大表示できます。
しかし、若干、FOUCUSが甘いようにも感じます。
輝線関係の調整を行ってみる事にします。
電源部の平滑コンデンサは後日も交換しました。
10本交換完了。 動作に目立った変化なしでした。
それにしても、2台とも液漏れコンデンサもないのは設計が良いのでしょう。
<その後の調整>
◇輝点を丸く光らせる(ASTIG)
FOCUS調整と連動で調整しました。
◇FOCUSのボケは前面のフイルター板がくすんでいたので代替アクリル板に替えました。
結果、良好のようです。
◇修理後の状態
CAL信号(1KHZ、0.5V P-P)
実際はブラウン管はもう少し緑がかっています。
遅延掃引を使って一部を拡大してみます。
輝度変調が適正で明暗がハッキリしてます。
B掃引の拡大表示です。 綺麗です。
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