電界強度計の自作

430M用でアンテナ調整用
2022年(令和4年)3月27日

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指向性アンテナの調整用にと思い自作しました。 
アンテナへはNano VNAから微弱電波を送り込み、5m程離れた位置で計測します。
電界強度計には内部のメーターと外部メーターに接続するコネクタを付けて切り替えることとしました。 
電源は006P 9VをAVR(7805)で5Vに落として利用します。
 
回路構成は広帯域増幅器とGe整流器、そしてオペアンプ、電流計です。
広帯域増幅器は東芝のTA4002Fで上限は1.3GB、ゲインは23dBです。
大きさは米粒ほどで、4本足となっています。

オペアンプは単電源で使用できるLM358を使用し、オフセット電流をキャンセルする回路構成にしました。普通の大きさの8−DIPが入手出来ず、小さなS-SOPを使用しました。
サイズは5x6mm程です。

いずれのICも小さいので配線は大変でした。
感度は充分過ぎるほどで屋外に持って行くと様々な電波を検出します。
メーター感度を落として、Hi−LOWのSWを付けています。

注意としてはシャック内のような強電界の環境では入力ICを破損する恐れがあります。
保護用にと思い、入力に双方向のSiダイオードを付けてみましたが感度が落ち過ぎたので外しています。

使用できる周波数はアンテナが430Mに合わせてるだけで、アンテナを変えればHF帯から1GHz程度まで測定できるのではないかと思います。 アンテナはネジ止めです。


完成した一式です。 
手持ちのテスター(50μA計)と繋ぐ為、4.5mのシールド線を使いました。
(後で更に4mを追加したので8.5mとなりました。)




 検波用ダイオードの選別
   手持ちの検波用ゲルマニュウムダイオードの中から使えそうなダイオードを選別する為
   下記のような簡易電界強度計を作り、傍らにダミーロードを繋いだ430M送信機から
   電波を出してメーターが振れるダイオードを選別しました。
   (1N60のようなダイオードが良さそうです)

   



 実際の回路図
   広帯域高周波アンプ(TA4002F)で増幅後(23dB)、Geダイオードで検波し、オペアンプで直流増幅(約1000倍)します。
   オペアンプは単電源で使えるものです。 全体としての増幅率は1〜2万倍ではないかと思います。
   オペアンプは2個入ってますが1個は使用しないので端子処理をしています。
   6番端子の10KΩは等しい抵抗値となるよう、手持ちの20本ほどから2本選別しました。
   抵抗値が異なる場合は無用の電流を消費するかも知れません。
   アンテナ入力の200Ωはアンテナとの整合の意味で付けていますが外すと感度がアップします。
   ただ、TA4002Fを守る意味でも付けておいた方が無難です。
   回路が組み上がって通電後、電流計のゼロ点を300Ωの半固定ボリュームで調整しておきました。
   ゼロ点はかなり安定していました。

   TA4002FのVCCに繋ぐ50Ωをチョークコイル(数μH)に替えたら感度が2割ほど増えました。(3/30 )
   



完成した電界強度計です。

入手したメーターは逆方向で
右側がゼロ点です。
組み立て中です。
ケースはアルミ板を加工しました。

基盤の裏側は0.3mm銅板です。
高周波周りの配線は0.3mm銅板を切り抜いています。
一番右にあるのは、その紙型です。
表側です。
スイッチは3個。
上から、メータの内部外部切替SW
メーター感度のHI/LOW切替SW
POWERのSW
電源LEDランプを付けています。
配線後の写真です。
アンテナは針金ハンガーです。
長さは69cm。

電池は外付けです。
手持ちのマンガン電池を付けています。
消費電流は20mAくらいですので十数時間は使えるものと思います。
(300mAhなら15時間です。アルカリ電池なら500mAhとして25時間くらいでしょうか)
基盤のアップ写真です。

銅板のアース部分の半田付けは
強めの80Wの半田コテを使用しました。



 あとがき
 出来上がってみたら、かなりの高感度で驚きました。
 ノートパソコンの近くに持って行くとメーターが半分以上振れます。
 テストのつもりで、隣の部屋に電界強度計を置き、シャックから電波を
 一瞬、送信するとメーターは振り切っていました。
 また、家のワイヤレス電話機の受話器を外すと、これもメーターは振り切れました。 
 屋外へ持って歩くと、メーターが振り切れる場所もあり驚きました。
 場所により電波の溜まり場のような濃淡さえ感じて驚いています。

 送信機の近くでの使用は要注意です。  たぶん、アンテナを外しても鋭く検知するでしょう。
 一度、保管中にリグの強電界で初段ICが壊れましたので保護回路を追加しました。
 Ge-Diの2本はダメ元保護です。Siだとキャパシタンスで感度激減で使えません。
 入力ショートSWはシャック内の強電界でも保護するためです。

 430Mに特化しようと入力回路に同調回路と思いましたが難しくて断念しました。
どのような周波数を検知しているのかディップメーターの発信器で確認してみましたら、いろんな周波数でピークがあるようでした。 40〜60MHz付近、115Mhz、130Mhz、190〜220Mhz、それ以上はディップメータが追いつけず不明でした。
いずれにせよ、バンド幅は非常に広範囲で1Gあたりまで伸びてるのでしょか? 
検波ダイオードに依存しそうです。HF帯(7M)でも感度はありました。
当然、Wi-Fi電波の2.4Gや5Gは検知できません。高周波アンプが1.3Gまでだからです。

ループアンテナのFB比が分かるかと早速、屋外で使用してみました。 まだ3エレのテスト中です。
発信電波はNanoVNAでSTART周波数(435.000000M)、STOP周波数(435.000001M)に設定です。
4mケーブルの先に50μAテスターを繋ぐと、電波の強弱が手元で見れて便利です。

一応、アンテナのFBでの差や反射器の効果を確認できました。
建築物から反射してる様子がありましたので、出来れば建築物のない広い場所で測定した方が良さそうです。 
430Mの測定ではアンテナから波長(69cm)に応じた距離で強弱が見られました。
配置する位置が数センチ違いや縦横でも強弱があります。
見えない電波が見えるような感覚に驚いています。

この装置は高感度過ぎでした。 住宅街で浮遊電界まで検知してしまいます。

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